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ストーカーは刑事事件になる?逮捕の基準や流れを弁護士が解説

2026-08-10

ストーカーは刑事事件になる?逮捕の基準や流れを弁護士が解説

ストーカー行為は、繰り返されれば刑事事件として立件され、逮捕や起訴に至る可能性があります。「どこからが犯罪に当たるのか」「逮捕されたらどうなるのか」という疑問は、被害を受けている方にとっても、行為を指摘された方にとっても切実な問題です。

ストーカー規制法では、つきまといや無言電話などの行為を反復することを「ストーカー行為」と定義し、刑罰の対象としています。警告や禁止命令といった行政手続きのほか、悪質な場合は逮捕に至ることもあります。

この記事では、ストーカー行為が刑事事件になる基準や法定刑を中心に詳しく解説します。

刑事事件になり得るストーカー行為の種類

刑事事件になり得るストーカー行為の種類

ストーカー規制法(正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)では、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの怨恨を動機とする行為を規制しています。法律が定める「つきまとい等」には複数の行為類型があり、代表的なものは以下のとおりです。

  • つきまとい・待ち伏せ・押しかけ
  • 監視していると思わせる言動
  • 無言電話・執拗なメール・SNSへの投稿
  • 汚物の送付・名誉毀損・性的羞恥心の侵害

それぞれ詳しく見ていきましょう。

つきまとい・待ち伏せ・押しかけ

相手の後をつけたり、自宅・勤務先・学校の付近で待ち伏せをしたりする行為は、ストーカー規制法が定める「つきまとい等」の代表例です。2017年の法改正では、住居等の付近を「みだりにうろつく行為」も規制対象に追加されました。

たとえば、元交際相手の通勤ルートで毎日のように待ち伏せをしたり、拒否されているにもかかわらず自宅を訪問し続けたりすれば、この類型に該当します。1回だけでも「つきまとい等」には該当しますが、刑罰の対象となる「ストーカー行為」は反復して行った場合です。

参考:警察庁「ストーカーとは

監視していると思わせる言動

相手の行動を把握していることを告げる行為も規制の対象です。具体的には、「今日○○にいたよね」と行動を逐一伝えたり、帰宅した直後に「おかえりなさい」と電話やメールを送ったりする行為が該当します。

直接伝えるだけでなく、相手が気づくように見張っていることを匂わせる行為も含まれます。監視されていると感じさせること自体が、相手に強い恐怖や不安を与えるため、法律で規制されています。

参考:内閣府男女共同参画局「ストーカー行為等の規制等に関する法律

無言電話・執拗なメール・SNSへの投稿

拒否されているにもかかわらず、無言電話を繰り返したり、メールやSNSのメッセージを大量に送り続けたりする行為も規制の対象です。2013年の法改正で電子メールが、2017年の改正ではSNSのメッセージ送信やブログへのコメント書き込みも追加されました。

たとえば、LINEで1日に何十通もメッセージを送る、相手のSNS投稿に執拗にコメントをつけるなどの行為がこれに当たります。近年はSNSを介したストーカー行為が増加しており、法改正によって規制対象が順次拡大されています。

参考:法務省「令和5年版 犯罪白書 ストーカー事案

汚物の送付・名誉毀損・性的羞恥心の侵害

汚物や動物の死体など、不快感や嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送りつける行為も規制されています。また、相手の名誉を傷つける内容をインターネット上に公開したり、わいせつな画像を送りつけたりする行為も対象です。

さらに、2021年の法改正では、相手に無断でGPS機器を取り付けて位置情報を取得する行為も規制対象に加わりました。2025年の改正では、紛失防止タグ(スマートタグ)の悪用も新たに規制されています。

参考:警察庁「ストーカーとは

ストーカー行為が刑事事件になる基準とは

ストーカー行為が刑事事件になる基準とは

前述の「つきまとい等」の行為を1回しただけでは、原則として刑罰の対象にはなりません。ストーカー規制法第2条第2項では、同一の者に対して「つきまとい等」を「反復して」行うことを「ストーカー行為」と定義しています。

ここでいう「反復」とは、同じ行為を繰り返す場合に限りません。たとえば、つきまといをした後に無言電話をかけるなど、異なる類型の行為を組み合わせて繰り返した場合も「ストーカー行為」に該当します。

相手から「やめてほしい」と明確に拒否された後も行為を継続すれば、刑事事件として立件される可能性が高まります。「恋愛感情のつもりだった」「悪気はなかった」といった主観は、法律上の免責事由にはなりません。

参考:衆議院「ストーカー行為等の規制等に関する法律

ストーカー規制法で問われる罪と刑罰

ストーカー規制法で問われる罪と刑罰

ストーカー規制法では、行為の態様に応じて異なる刑罰が定められています。以下の2つについて詳しく見ていきましょう。

  • ストーカー行為罪の法定刑
  • 禁止命令違反の法定刑

ストーカー行為罪の法定刑

ストーカー行為をした者には、1年以下の拘禁刑(旧:懲役)または100万円以下の罰金が科されます(ストーカー規制法第18条)。

2017年の法改正以前は親告罪(被害者の告訴がなければ起訴できない罪)でしたが、改正により非親告罪となりました。これにより、被害者が報復をおそれて告訴をためらう場合でも、検察官の判断で起訴できる仕組みに改められています。被害者の負担軽減につながる重要な変更点です。

参考:内閣府男女共同参画局「ストーカー行為等の規制等に関する法律

禁止命令違反の法定刑

公安委員会から禁止命令を受けたにもかかわらず、これに違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が科されます(同法第19条)。通常のストーカー行為罪よりも刑が重く設定されており、禁止命令を無視することの重大性が反映されています。

なお、禁止命令に違反したものの、ストーカー行為(反復行為)には至らなかった場合でも、50万円以下の罰金が科される可能性があります(同法第20条)。

参考:衆議院「ストーカー行為等の規制等に関する法律

ストーカー行為で逮捕されるまでの流れ

ストーカー行為で逮捕されるまでの流れ

ストーカー事案では、いきなり逮捕に至るケースは比較的少なく、段階的な手続きを経ることが一般的です。典型的な流れは以下のとおりです。

  • 警告
  • 禁止命令
  • 逮捕(通常逮捕・現行犯逮捕)

それぞれのステップを詳しく解説します。

1.警告

被害者からの申出を受けた場合、警察本部長等は行為者に対して「つきまとい等を繰り返してはならない」旨の警告を出すことができます(ストーカー規制法第4条)。

警告自体に法的な強制力はありませんが、警告を受けた事実は記録として残り、その後の禁止命令や逮捕の判断に影響します。この段階で行為が止まれば、刑事事件化を防ぐことができます。

参考:法務省「令和6年版 犯罪白書 ストーカー事案

2.禁止命令

警告を受けても行為が止まらない場合、都道府県の公安委員会がつきまとい等の禁止命令を発出します。2017年の法改正により、緊急の場合は警告を経ずに禁止命令を出すことも可能になりました(警告前置の廃止)。

禁止命令の有効期間は1年間で、必要に応じて延長されることもあります。禁止命令に違反した場合は、通常のストーカー行為罪よりも重い刑罰(2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金)の対象となります。

参考:法務省「令和5年版 犯罪白書 ストーカー事案

3.逮捕(通常逮捕・現行犯逮捕)

禁止命令に違反した場合や、行為が極めて悪質な場合には逮捕に至ります。逮捕には、裁判官が発付する逮捕状に基づく「通常逮捕」と、犯行の現場で取り押さえる「現行犯逮捕」の2種類があります。

たとえば、待ち伏せの現場を警察官に目撃されれば、その場で現行犯逮捕される可能性があります。行為が悪質なケースでは、警告や禁止命令の段階を経ずに直接逮捕されることもあります。

参考:法務省「令和6年版 犯罪白書 ストーカー事案

ストーカーの刑事事件で逮捕された後の手続き

ストーカーの刑事事件で逮捕された後の手続き

逮捕された後は、法律で定められた期限内に手続きが進行します。大きく分けて以下の3つのステップがあります。

  • 警察での取り調べと検察への送致
  • 勾留と起訴・不起訴の決定
  • 刑事裁判

順を追って解説します。

1.警察での取り調べと検察への送致

逮捕されると、まず警察による取り調べが行われます。警察は逮捕から48時間以内に、事件を検察官へ送致(送検)しなければなりません。この間、弁護士以外は家族であっても、被疑者との面会(接見)は原則として認められません。

取り調べでの供述内容は、後の起訴・不起訴の判断や裁判に大きく影響します。この段階での対応が、その後の手続き全体の方向性を左右することになります。

参考:法務省「令和6年版 犯罪白書

2.勾留と起訴・不起訴の決定

検察官は送致を受けてから24時間以内に、裁判官に対して勾留請求を行うかどうかを判断します。勾留が認められると、原則10日間(最大で延長を含め20日間)身柄が拘束されます。

勾留期間中に、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。起訴には、正式な裁判を求める「公判請求」と、書面だけで審理する「略式起訴」の2種類があります。被害者との示談が成立している場合は、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性が高まります。

参考:法務省「令和6年版 犯罪白書

3.刑事裁判

公判請求された場合、刑事裁判が開かれます。裁判では、検察側と弁護側双方の主張・証拠をもとに、裁判官が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰を科すかを判断します。

初犯でかつ示談が成立している場合は、執行猶予付きの判決が出る可能性があります。一方、禁止命令違反を繰り返している場合や、暴行・傷害などの行為を伴う場合は、実刑判決が下されることもあります。

参考:法務省「令和6年版 犯罪白書

ストーカーの刑事事件で前科を避けるには

ストーカーの刑事事件で前科を避けるには

ストーカー行為で逮捕された場合でも、適切な対応を取ることで前科がつかない結果になる可能性があります。法的に有効とされる主な手段は以下の2つです。

  • 被害者との示談交渉を早期に進める
  • 弁護士に早期に依頼する

それぞれ解説します。

被害者との示談交渉を早期に進める

刑事手続きにおいて、被害者との示談交渉は処分を左右する重要な要素です。示談が成立し、被害者が処罰を望まない意思(宥恕)を示した場合、検察官が不起訴処分を出す大きな判断材料になります。

ただし、ストーカー事件では、行為者本人が被害者に直接連絡を取ること自体が禁止命令違反になり得るため、当事者間での交渉は行えません。示談書には「被害届の取下げ」や「処罰を望まない」旨の宥恕条項を盛り込むのが一般的です。

弁護士に早期に依頼する

逮捕後72時間は、弁護活動において最も重要な時間帯とされています。この間に弁護士が接見し、取り調べへの対応方針を確認することが、その後の手続きに大きく影響します。

弁護士は、勾留中の被疑者と制限なく面会(接見)できる唯一の立場にあります。また、被害者との示談交渉を代理で行えるため、当事者間で連絡を取る必要がなくなり、被害者側の安全と心理的な負担にも配慮した形で交渉を進めることが可能です。

ストーカー事件の示談金の相場

ストーカー事件の示談金の相場

ストーカー事件における示談金は、一般的に30万〜200万円程度が相場とされています。金額は法律で定められているわけではなく、行為の悪質性や継続期間、被害者が受けた精神的苦痛の程度などによって大きく変動します。

たとえば、禁止命令に違反して行為を続けた場合や、ストーカー行為が長期にわたった場合は、被害者の精神的な負担が大きいと判断され、示談金が高額になる傾向があります。

なお、示談金が支払われても、必ず不起訴になるとは限りません。ストーカー行為罪は非親告罪であるため、検察官は被害者の意思にかかわらず起訴することが可能です。ただし、示談の成立は、不起訴の判断において有利に働く重要な要素とされています。

まとめ

まとめ

ストーカー行為を反復して行えば、ストーカー規制法違反として刑事事件に発展し、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。警告・禁止命令を無視すればさらに重い刑罰の対象です。逮捕後は最大23日間の身柄拘束を経て起訴・不起訴が決まり、示談の成立が処分に大きく影響します。

被害を受けている場合も、行為を指摘された場合も、早い段階で弁護士に相談し、法的な手続きを正しく理解したうえで対応することが重要です。

名古屋H&Y法律事務所は、お客様に「本気で寄り添う」をモットーにする法律事務所です。刑事事件に関するご相談は無料で受け付けております。ウェブ会議や電話会議を利用したリモート相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。

刑事事件の弁護士費用が払えない!使える3つの制度を解説

2026-08-10

刑事事件の弁護士費用が払えない!使える3つの制度を解説

家族が突然逮捕された、あるいは自分が被疑者になってしまった。そんな状況で「弁護士に頼みたいけど、費用が払えない」と途方に暮れている方は少なくありません。

実は、費用の用意ができなくても弁護士のサポートを受けられる公的制度が複数あります。当番弁護士制度・国選弁護人制度・刑事被疑者弁護援助制度など、状況に応じて使い分けることが重要です。

本記事では、各制度の概要・メリット・デメリットを整理し、あなたの状況に合った選択肢を分かりやすく解説します。

刑事事件の弁護士費用が払えないとどうなる?

刑事事件の弁護士費用が払えないとどうなる?

刑事事件では、弁護士がいないまま手続きが進むことで、取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。たとえば、逮捕直後の取調べで誘導的な質問に答えてしまい、意図しない内容の供述調書が作成されるケースがあります。一度署名した調書は、後から覆すことが非常に難しいため、慎重な対応が求められます。

また、弁護士がいない場合、勾留阻止のための意見書提出や、被害者との示談交渉といった初動対応が遅れがちになります。逮捕から勾留請求まで最大72時間という制限があり、この初動の段階が、起訴・不起訴の結果を大きく左右します。

刑事事件で弁護士費用が払えなくても使える3つの制度

刑事事件で弁護士費用が払えなくても使える3つの制度

弁護士費用が払えない場合に活用できる主な制度は、以下の3つです。それぞれ対象となるタイミングや条件が異なるため、状況に応じた使い分けが重要です。

  • 当番弁護士制度:逮捕直後に無料で1回だけ弁護士を呼べる
  • 国選弁護人制度:勾留後に国が費用を負担して弁護人を選任してくれる
  • 刑事被疑者弁護援助制度:逮捕から勾留前の間、日弁連が弁護士費用を立て替えてくれる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

当番弁護士制度|逮捕直後に無料で1回呼べる

当番弁護士制度とは、逮捕された方やその家族が弁護士会に連絡することで、当番として待機している弁護士が警察署などに駆けつけ、無料で接見・アドバイスを行う制度です。1992年から全国の弁護士会で実施されており、年齢・事件内容・資力を問わず誰でも利用できます。

逮捕された本人は、警察官・検察官・裁判官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えるだけで手続きが始まります。家族や知人が依頼する場合は、各都道府県の弁護士会に電話で申し込みます。依頼後、原則として24時間以内に弁護士が接見に来てくれます。

ただし、同一事件について派遣されるのは原則1回限りです。継続的な弁護活動が必要な場合は、私選弁護人への依頼や、次に紹介する国選・援助制度への切り替えを検討する必要があります。

参考:東京弁護士会「当番弁護士制度

国選弁護人制度|国が費用を負担する公的弁護

国選弁護人制度とは、弁護士費用を自己負担できない被疑者・被告人に対し、国が弁護人を選任する制度です。

制度には「被疑者国選」と「被告人国選」の2種類があります。被疑者国選は勾留状が発せられた後から利用でき、被告人国選は起訴後に利用できます。いずれも資力(現金・預貯金等)が50万円未満であることが原則的な要件です。なお、多くの場合は貧困を理由に費用負担が免除されますが、法律上は被告人が費用を負担する建前となっています。

利用の流れとしては、勾留決定後に裁判所から資力申告書の提出を求められ、審査を経て弁護人が選任されます。弁護士を自分で指名・選択することはできません。

参考:法務省「現行法による国選弁護・国選付添制度の概要(PDF)

刑事被疑者弁護援助制度|弁護士費用を立て替えてもらえる

刑事被疑者弁護援助制度とは、日本弁護士連合会(日弁連)が、逮捕されてから勾留されるまでの間(最長3日間)、弁護士費用を立て替えてくれる制度です。国選弁護人制度と最も大きく異なる点は、弁護士を自分で選べることです。刑事事件に強い弁護士を自ら指名して依頼できるため、より専門的なサポートを受けやすくなります。

利用できるのは、逮捕されており、かつ資力が50万円未満の方に限られます。勾留後は国選弁護人制度の対象となるため、本制度の適用期間は逮捕から勾留前までです。援助を受けた費用は、原則として事件解決後に日弁連へ返済する必要があります。ただし、返済が困難な場合は、分割払いや一部・全額免除の相談にも応じてもらえます。

参考:日本弁護士連合会「刑事弁護に関する制度のご紹介

刑事事件における当番弁護士制度のメリット・デメリット

刑事事件における当番弁護士制度のメリット・デメリット

当番弁護士制度は「逮捕直後に無料で弁護士を呼べる」という点で非常に有用ですが、活動範囲に制限があります。利用を検討する際は、メリットとデメリットを正しく把握しておきましょう。

メリット デメリット
  • 初回接見の費用が無料
  • 原則24時間以内に対応してもらえる
  • 黙秘権などの権利説明や今後の手続きの見通しを聞ける
  • 原則1回限りで、継続的な弁護活動は行ってもらえない
  • 弁護士を自分で選べない
  • 私選弁護人に移行する場合は別途費用が発生する

当番弁護士はあくまで「最初の一手」と位置づけるのが適切です。1回の接見で継続的な弁護活動が終わるわけではなく、その後の方針を決めるための橋渡し役として機能します。接見の際には、今後の方針(国選弁護に移行するか、刑事被疑者弁護援助制度を活用して私選弁護人を選ぶか)についても相談しておくと、次のステップへスムーズに移行できます。

また、当番弁護士として接見した弁護士がそのまま私選または国選の弁護人として継続して担当できる場合もあります。相性が良いと感じたら、引き続き依頼できるかどうかをその場で確認しておくことをおすすめします。

刑事事件における国選弁護人制度のメリット・デメリット

刑事事件における国選弁護人制度のメリット・デメリット

国選弁護人制度は費用負担なく継続的な弁護を受けられる点が最大の強みですが、弁護士の選択に制限があります。利用前にデメリットも把握しておきましょう。

メリット デメリット
  • 原則として費用負担がない(貧困の場合は免除)
  • 起訴後は原則として弁護人が付くため、継続した弁護を受けられる
  • 弁護士を自分で選べない
  • 勾留後の選任になるため、逮捕直後の初動対応が遅れる可能性がある
  • 刑事事件の経験が豊富でない弁護士が担当する場合がある
  • 原則として途中での弁護士交代が難しい

「国が付けてくれるから安心」と思い込まず、担当弁護士との相性や専門性も意識することが重要です。国選弁護人は弁護士会のリストから機械的に割り当てられるため、刑事事件の経験が豊富かどうかは事前に確認できません。

また、費用の面では、多くの場合は貧困を理由に免除されますが、有罪判決が確定した際に訴訟費用の負担を命じられる可能性もゼロではありません。担当弁護士にあらかじめ費用負担の見通しを確認しておくと安心です。

刑事事件における刑事被疑者弁護援助制度のメリット・デメリット

刑事事件における刑事被疑者弁護援助制度のメリット・デメリット

刑事被疑者弁護援助制度は、費用の立替を受けながら弁護士を自由に選べる点で、他の制度にはない強みがあります。一方で、返済義務や利用条件がある点も把握しておく必要があります。

メリット デメリット
  • 弁護士を自分で選んで依頼できる
  • 費用を立て替えてもらえるため、逮捕直後でも初期費用がかからない
  • 逮捕直後から継続的に弁護活動を受けられる
  • 原則として事件解決後に日弁連への返済義務がある
  • 資力50万円未満など、利用条件を満たす必要がある
  • 適用期間が逮捕から勾留前(最長3日間)に限られる

なお、返済が困難な場合は分割払いや一部免除の相談にも応じてもらえます。「返済が不安で使えない」と思わず、まず制度の利用を検討することが重要です。実際に返済できるかどうかは、事件解決後の状況を踏まえて改めて相談できるため、利用をためらう必要はありません。

また、逮捕から勾留までの最長3日間という短い適用期間を最大限に活かすためにも、逮捕後できるだけ早い段階で制度の利用を申し出ることが大切です。当番弁護士を呼んだ際に、そのまま本制度の手続きへ移行できるかどうか確認しておくと、時間のロスを防げます。

【状況別】刑事事件で弁護士に困ったらどの制度を使うべきか

【状況別】刑事事件で弁護士に困ったらどの制度を使うべきか

費用が払えない状況でどの制度を選ぶかは、逮捕からの経過時間や優先したいことによって異なります。以下の3パターンを参考に、自分の状況に合った制度を確認してください。

逮捕直後でとにかく急ぎたい場合

逮捕直後は「まず当番弁護士を呼ぶ」ことが最善の一手です。逮捕後72時間以内は取調べが集中する時間帯であり、弁護士なしで応じてしまうと不利な供述調書が作成されるリスクがあります。当番弁護士は無料かつ24時間以内に対応してもらえるため、費用の心配なく即座にアドバイスを受けられます。

接見の際には、今後の方針(国選弁護に移行するか、刑事被疑者弁護援助制度を活用して私選弁護人を選ぶか)についても相談しておくと、次のステップへスムーズに移行できます。

費用をかけずに起訴後も弁護を受けたい場合

勾留が決定した後、費用をかけずに継続的な弁護を受けたい場合は、国選弁護人制度が第一候補となります。資力が50万円未満であれば申請でき、貧困を理由に費用が免除されるケースがほとんどです。

申請は勾留決定後に裁判所から案内される資力申告書を提出することで手続きが進みます。弁護士の指名はできませんが、費用負担なく起訴後の裁判まで一貫して弁護を受けられる点は大きなメリットです。

弁護士を自分で選びたいが費用が不安な場合

「刑事事件に強い弁護士に依頼したいが費用が払えない」という場合は、刑事被疑者弁護援助制度の活用が有効です。逮捕から勾留前の最長3日間、日弁連が費用を立て替えるため、自分で選んだ弁護士にすぐ動いてもらえます。

勾留後は国選弁護人制度に切り替えることができ、同じ弁護士が引き続き担当できる場合もあります。

刑事事件で弁護士費用が払えない場合のよくある質問

刑事事件で弁護士費用が払えない場合のよくある質問

逮捕当日でも弁護士を呼べますか?

はい、呼べます。当番弁護士制度を利用すれば、逮捕当日でも無料で弁護士に接見してもらえます。逮捕された本人は、警察官や検察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えるだけで手続きできます。家族や知人が呼ぶ場合は、各都道府県の弁護士会に電話で申し込みましょう。弁護士会の連絡先は「○○県(市)弁護士会 当番弁護士」と検索すると確認できます。

国選弁護人は本当に無料ですか?

原則として費用負担はありません。ただし、法律上は被告人が費用を負担する建前になっており、裁判所が費用負担を命じるケースが存在します。実際には、資力50万円未満であることが国選弁護を利用できる条件であるため、貧困を理由に費用が免除されるケースがほとんどです。資力について虚偽の申告をすると10万円以下の過料の対象となるため、正直に申告することが必要です。

家族が弁護士費用を払えない場合はどうすればいい?

家族が逮捕された場合も、上記で紹介した制度を活用できます。まず家族が弁護士会に連絡して当番弁護士を呼び、接見後に弁護士から今後の方針を聞きましょう。刑事被疑者弁護援助制度の申し込みは、弁護士を通じて行うため、当番弁護士にその旨を伝えると手続きをサポートしてもらえます。

まとめ

まとめ

刑事事件で弁護士費用が払えない場合でも、当番弁護士・国選弁護人・刑事被疑者弁護援助制度という3つの公的制度を状況に応じて組み合わせることで、弁護士のサポートを受けることが可能です。逮捕直後は当番弁護士を呼んで初動を固め、その後は費用・弁護士の選択自由度・対応期間を踏まえて最適な制度へ切り替えていくことが大切です。

費用を理由に弁護士への相談をためらうことなく、まずは行動することが、ご自身やご家族を守ることにつながります。

名古屋H&Y法律事務所は、お客様に「本気で寄り添う」をモットーにする法律事務所です。刑事事件に関するご相談は無料で受け付けております。ウェブ会議や電話会議を利用したリモート相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。

刑事事件の公訴時効は何年?犯罪別一覧と時効がない罪を解説

2026-08-10

刑事事件の公訴時効は何年?犯罪別一覧と時効がない罪を解説

「自分が関わった事件はもう時効なのか」「いつまで逮捕される可能性があるのか」と不安を感じている方は少なくありません。

刑事事件の時効には、検察官が起訴できる期限である「公訴時効」と、確定した刑罰の執行期限である「刑の消滅時効」の2種類があります。

本記事では、犯罪別の公訴時効年数を一覧表で整理したうえで、時効が停止するケースや制度が存在する理由まで、わかりやすく解説します。

刑事事件における公訴時効とは?

刑事事件における公訴時効とは?

公訴時効とは、犯罪が行われてから一定の期間が経過すると、検察官がその事件を起訴(公訴提起)できなくなる制度です。根拠となるのは刑事訴訟法第250条で、犯罪ごとの法定刑に応じて時効期間が定められています。

時効が完成すると、裁判所は「免訴」の判決を下すことになり(刑事訴訟法第337条4号)、有罪・無罪の判断がされないまま裁判が打ち切られます。つまり、時効成立後は、たとえ犯人が特定されていたとしても刑事裁判で罪を問うことができません。

参考:法務省「刑法及び刑事訴訟法 参照条文

公訴時効と消滅時効(刑の時効)の違い

公訴時効と消滅時効(刑の時効)の違い

「時効」という言葉は同じでも、公訴時効と消滅時効(刑の時効)はまったく別の制度です。公訴時効は起訴の期限であるのに対し、消滅時効は裁判で確定した刑罰を執行できる期限を意味します。

公訴時効 消滅時効(刑の時効)
意味 検察官が起訴できる期限 確定した刑の執行ができる期限
根拠法令 刑事訴訟法第250条 刑法第31条・第32条
起算点 犯罪行為が終わった時 刑の言い渡しが確定した時
実務上の適用 頻繁に問題となる ほとんど適用されない

実務上、刑が確定すればすみやかに執行されるため、消滅時効が成立するケースはきわめて稀です。

一般的に「刑事事件の時効」といえば、公訴時効を指すと考えてよいでしょう。

刑事事件の公訴時効は何年?

刑事事件の公訴時効は何年?

公訴時効の年数は、犯罪の法定刑の重さによって決まります。大きく分けると、次の3つの区分で整理できます。

  • 人を死亡させていない犯罪の公訴時効
  • 人を死亡させた犯罪の公訴時効
  • 公訴時効がない犯罪

それぞれ詳しく見ていきましょう。

人を死亡させていない犯罪(窃盗・詐欺・傷害など)の公訴時効

人を死亡させていない犯罪の公訴時効は、刑事訴訟法第250条第2項に定められています。 法定刑の上限が重いほど時効期間も長くなる仕組みです。

法定刑の上限 時効期間 主な犯罪例
死刑にあたる罪 25年 外患誘致罪など
無期の拘禁刑にあたる罪 15年 通貨偽造罪など
長期15年以上の拘禁刑にあたる罪 10年 傷害罪・強盗罪など
長期15年未満の拘禁刑にあたる罪 7年 窃盗罪・詐欺罪・横領罪など
長期10年未満の拘禁刑にあたる罪 5年 業務上過失傷害罪など
長期5年未満の拘禁刑または罰金にあたる罪 3年 暴行罪・名誉毀損罪など
拘留または科料にあたる罪 1年 軽犯罪法違反など

たとえば、詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑なので、公訴時効は7年です。犯罪が行われた日から7年が経過すると、検察官は起訴できなくなります。

人を死亡させた犯罪(傷害致死・危険運転致死など)の公訴時効

人を死亡させた犯罪については、2010年4月27日の法改正で公訴時効が大幅に延長されました。刑事訴訟法第250条第1項に基づき、以下の時効期間が適用されます。

法定刑の上限 時効期間 主な犯罪例
無期の拘禁刑にあたる罪 30年 不同意性交等致死罪など
長期20年の拘禁刑にあたる罪 20年 傷害致死罪・危険運転致死罪など
上記以外の拘禁刑にあたる罪 10年 過失運転致死罪・業務上過失致死罪など

この改正は、被害者遺族から「時の経過によっても処罰を求める気持ちは消えない」という強い声が上がったことが大きなきっかけです。

なお、改正時点ですでに時効が完成していた事件には適用されませんが、公訴時効が完成していない事件には改正後の期間が適用されます。

公訴時効がない犯罪

2010年の法改正により、人を死亡させた罪のうち、法定刑に死刑が含まれる犯罪については公訴時効が撤廃されました。具体的には、殺人罪・強盗殺人罪・強盗不同意性交等致死罪などが該当します。

改正前は殺人罪にも25年の公訴時効がありましたが、現在は何年経過しても起訴が可能です。また、最高裁判所は2015年12月3日の判決で、時効撤廃を改正前の事件にさかのぼって適用することについても合憲と判断しています。

刑事事件の公訴時効はなぜ存在するのか?

刑事事件の公訴時効はなぜ存在するのか?

「犯罪者が時間の経過で罪を逃れるのはおかしい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、公訴時効には法的な合理性があり、主に次の3つの理由から制度が維持されています。

  • 時間経過により証拠が散逸し、事実認定が困難になるから
  • 社会的な処罰感情が時間とともに薄れるから
  • 長年にわたる社会生活の安定を尊重すべきとされるから

それぞれ詳しく見ていきましょう。

時間経過により証拠が散逸し事実認定が困難になるから

時間が経つほど、物的証拠は劣化・紛失し、目撃者の記憶もあいまいになっていきます。 こうした状態で裁判を行えば、証拠不十分のまま有罪とされる「冤罪」のリスクが高まります。

公訴時効は、正確な事実認定ができなくなった段階で無理に裁判を行うことを防ぎ、被告人の権利を守る役割も果たしているのです。

社会的な処罰感情が時間とともに薄れるから

犯罪が発生した直後は社会全体に「犯人を罰してほしい」という強い感情がありますが、年月の経過とともにその感情は少しずつ薄れていきます。こうした考え方は「応報感情の減衰」と呼ばれ、刑事政策の分野で広く認められている理論です。

最高裁判所も、公訴時効制度の趣旨について「処罰の必要性と法的安定性の調和を図ること」にあると示しています。

長年にわたる社会生活の安定を尊重すべきとされるから

犯行後、長期間にわたって逮捕されずに生活してきた人には、家庭や仕事など社会的なつながりが形成されています。そのような現状を突然覆すことは、本人だけでなく周囲にも大きな影響を与えます。

法律は、長い時間をかけて築かれた生活の安定にも一定の保護を与えるべきだという考え方に基づき、時効という制度を設けています。また、限られた捜査資源を新しい事件に集中させるという実務上の要請もあります。

刑事事件の公訴時効が停止・延長されるケース

刑事事件の公訴時効が停止・延長されるケース

公訴時効は、常に一定のペースで進行するわけではありません。一定の条件を満たすと時効のカウントが一時的に止まる(停止する)ケースがあります。具体的には、次の3つの場合です。

  • 犯人が国外にいる場合(海外逃亡)
  • 共犯者が裁判を受けている場合
  • 性犯罪の被害者が18歳未満の場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

犯人が国外にいる場合(海外逃亡)

刑事訴訟法第255条第1項により、犯人が国外にいる期間中は公訴時効の進行が停止します。これは逃亡目的かどうかに関係なく、一時的な海外渡航であっても適用されます(最高裁平成21年10月20日決定)。

たとえば、公訴時効が7年の詐欺罪で、犯行の翌年に犯人が5年間海外に滞在した場合、その5年間は時効がカウントされません。帰国後に残りの時効期間が再開するため、「海外に逃げれば時効が成立する」という考えは誤りです。

共犯者が裁判を受けている場合

共犯者のうち一人が起訴されると、その裁判が続いている間は、他の共犯者に対する公訴時効も停止します(刑事訴訟法第254条第2項)。

たとえば、AとBが共謀して犯罪を行い、Aだけが先に逮捕・起訴された場合、Aの裁判が続いている間はBの時効も進みません。これは、共犯者の一部だけが時効で逃れることを防ぐための規定です。

性犯罪の被害者が18歳未満の場合

2023年7月13日の刑法改正により、性犯罪の公訴時効には2つの大きな変更が加えられました。

まず、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪などの性犯罪について、公訴時効が従来よりそれぞれ5年延長されました。さらに、被害者が18歳未満の場合、被害者が18歳に達するまでの期間は時効の進行が停止する特例が設けられています(刑事訴訟法第250条第3項・第4項)。

具体的には、15歳の被害者が不同意性交等の被害を受けた場合、18歳までの3年間は時効が停止するため、時効期間は「3年+15年=18年」となります。これは、幼少期の被害者が成長して自ら被害を訴えられるようになるまでの期間を考慮した規定です。

参考:内閣府男女共同参画局「共同参画 2023年9月号

刑の消滅時効(刑の時効)とは

刑の消滅時効(刑の時効)とは

刑の消滅時効とは、裁判で刑が確定した後、一定期間その刑が執行されなかった場合に、刑罰の執行権が消滅する制度です(刑法第31条・第32条)。公訴時効が「起訴の期限」であるのに対し、消滅時効は「刑の執行の期限」である点が異なります。

刑の種類 消滅時効の期間
死刑 30年
無期の拘禁刑 20年
10年以上の有期の拘禁刑 15年
3年以上10年未満の拘禁刑 10年
3年未満の拘禁刑 5年
罰金 3年
拘留・科料・没収 1年

ただし、実務上は刑が確定すればすみやかに執行されるため、消滅時効が適用されるケースはほとんどありません。消滅時効が問題となりうるのは、在宅起訴されて実刑判決を受けた被告人が、収容前に逃亡した場合など、きわめて例外的な場面に限られます。

刑事事件の時効後でも賠償請求はできる?民法上の時効との関係

刑事事件の時効後でも賠償請求はできる?民法上の時効との関係

刑事事件の公訴時効が成立しても、民事上の損害賠償請求権がただちに消滅するわけではありません。刑事の時効と民事の時効はまったく別の制度だからです。

民法第724条によると、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は次のとおりです。

  • 被害者が損害と加害者を知った時から3年(人の生命・身体を害する不法行為は5年)
  • 不法行為の時から20年

たとえば、傷害事件の公訴時効(10年)が成立した後でも、被害者が加害者を知ってから5年以内であれば、民事訴訟で損害賠償を請求できる可能性があります。

参考:法務省「事件や事故に遭われた方へ(損害賠償請求権に関するルール変更)

刑事事件の公訴時効に関するよくある質問

刑事事件の公訴時効に関するよくある質問

公訴時効の起算日はいつか

公訴時効は、「犯罪行為が終わった時」から進行します(刑事訴訟法第253条第1項)。 たとえば傷害罪なら暴行によってケガの結果が発生した時点、詐欺罪なら被害者からお金を受け取った時点が起算日となります。

監禁罪のような継続犯の場合は、犯罪行為が完全に終了した時点(被害者が解放された時点)から時効が進行します。また、時効の計算では初日を1日目として数える「初日算入」のルールが適用される点にも注意が必要です(刑事訴訟法第55条第1項ただし書き)。

時効完成直前でも逮捕されることはあるか

時効が完成する前であれば、どのタイミングでも逮捕・起訴される可能性があります。時効の残り日数が少なくても、捜査機関が証拠を確保できれば逮捕に踏み切ることは十分にあり得ます。

実際に、時効成立の直前に被疑者が特定され、駆け込みで逮捕・起訴に至った事例も報道されています。「あと少しで時効だから大丈夫」という考えは危険であり、時効前に自首すれば刑が減軽される可能性もあります(刑法第42条)。

公訴時効と告訴期限(親告罪の告訴期間)はどう違うか

公訴時効と告訴期限は混同されやすいですが、まったく別の概念です。公訴時効は「検察官が起訴できる期限」、告訴期限は「被害者が告訴できる期限」を指します。

告訴が必要な犯罪(親告罪)では、告訴期間内に告訴がなければ検察官は起訴できません。一方、非親告罪では告訴がなくても検察官の判断で起訴が可能であり、公訴時効のみが期限となります。

時効が完成した後も民事上の責任は残るか

刑事事件の公訴時効が完成しても、民事上の損害賠償責任は別途存続している可能性があります。

前述のとおり、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、または不法行為の時から20年で時効にかかります。刑事の時効と民事の時効は起算点も期間も異なるため、刑事で時効が成立していても民事での請求が可能なケースは少なくありません。

まとめ

まとめ

刑事事件の公訴時効は犯罪の法定刑に応じて1年〜30年に設定されており、殺人罪など法定刑に死刑が含まれる犯罪については2010年の法改正で撤廃されています。犯人が海外にいる場合や共犯者が裁判中の場合には時効が停止するため、時間が経てば必ず逃れられるわけではありません。

また、刑事の時効が成立しても民事上の賠償責任が残る可能性があるため、被害者・加害者いずれの立場であっても、時効に関する不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

名古屋H&Y法律事務所は、お客様に「本気で寄り添う」をモットーにする法律事務所です。刑事事件に関するご相談は無料で受け付けております。ウェブ会議や電話会議を利用したリモート相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。

書類送検されるとどうなる?書類送検とは何か弁護士が簡単に解説します

2024-10-19

ニュースでよく耳にする「書類送検」って何?

芸能人やスポーツ選手が「書類送検された」というニュースを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

ところが、「書類送検」の意味を正確に理解している人は案外少ないように思います。

「書類送検」とは何かというと、警察が捜査をした事件について、その書類や証拠を検察庁に送致することをいいます。

刑事事件では、まず警察が事件について捜査します。関係者から話を聞いたり、実況見分して証拠を集めたりといったことをするわけですね。

しかし、警察には事件を起訴するかどうか判断する権限がありません。

日本で起訴か不起訴かを判断する権限を持つのは検察だけです。

そこで、事件について捜査を終えた警察は、検察官に起訴か不起訴か判断してもらうために事件の書類や証拠を検察庁に送致しなければなりません(刑事訴訟法246条)。

この警察が検察に事件の書類や証拠を送ることを文字通り「書類送検」というわけです。

関連記事:刑事事件はどのように進んでいくのか?刑事事件の流れについて弁護士がわかりやすく解説します

逮捕されている場合は「書類送検」とは言わない

上述のとおり、「書類送検」とは、書類や証拠を検察庁に送致することを意味します。

もっというと、あくまで書類や証拠のみを送致するニュアンスを含んでいるのであり、被疑者が逮捕されていない在宅事件の場合にのみ使われる言葉です。

これに対して、被疑者が逮捕されている場合、警察は逮捕から48時間以内に証拠や書類と一緒に被疑者の身柄を検察庁に送致しなければならないとされています(刑事訴訟法203条1項)。

このように被疑者が逮捕されている事件(身柄事件)では、被疑者の身柄も一緒に検察庁に送られるため、「書類送検」とはいいません(では、その場合は何というのかというと、特に呼び名があるわけではなく、単に「送致」や「送検」ということが多いです)。

「書類送検=犯罪の疑いがある」ではない!

上述のとおり、書類送検とは、被疑者が逮捕されていない在宅事件について、事件の捜査を終えた警察がその書類や証拠を検察庁に送ることをいいます。

「書類送検された」と聞くと、「その人が実際に犯罪を行った疑いがあると警察が判断したから送検したんだ」というような印象を受ける人も多いかもしれませんが、実際はそうではありません。

というのも、刑事訴訟法では、警察は捜査をした事件については、原則として、全件を検察庁に送致しなければならないとされているからです(刑事訴訟法246条)。

これを全件送致主義といいます(ただし、全件送致主義の例外として、ごく軽微な万引き事件などについては、書類送検せずに警察限りで事件を終結させる処理がなされることがあり、これを微罪処分といいます。微罪処分はあくまで例外であって、すべての事件について検察庁に送致をするのが原則です)。

上述のとおり、警察には事件を起訴するかどうかを判断する権限がありません。

ですので、警察は、犯罪の疑いがあるか否かにかかわらず、すべての事件を検察庁に送致して、検察官の判断に委ねなければならないのです。

したがって、警察は、捜査した結果、犯罪の疑いが全くないと考えるような場合であっても、書類送検しなければならないのであって、裏をかえせば書類送検されたからといって、犯罪の疑いがあるということでは決してないということになるのです。

書類送検というのは、あくまで形式的な手続きを意味するに過ぎないのであって、犯罪の疑いがあるか否かとは全く無関係ということですね。

今後は「書類送検された」というニュースを目にしても、その人のことを色眼鏡で見ないことが大切です。

書類送検されても前科はつかない

書類送検されると前科がつくのでしょうか?

すでに説明してきたとおり、書類送検というのは、あくまで警察が事件に関する書類や証拠を検察庁に送致することであって、起訴にするか不起訴にするかを決めるのは送致を受けた検察です。

そして「前科」とは、起訴されて裁判で有罪判決を受けることなので、当然ながら、書類送検されただけで前科がつくということはありません。

関連記事:前科をつけないためにはどうすればいい?

保釈が認められるのはどんな場合?―保釈制度について弁護士がわかりやすく解説します

2024-06-17

・保釈ってなに?釈放とは違うの?

・保釈が認められるのはどういう場合?

・保釈で身柄を解放してもらうにはどうすればいい?

そもそも「保釈」とは?

保釈は「身柄事件」の「公判段階」においてのみ適用される制度

「保釈」とは、起訴された被告人が勾留によって身体を拘束されている場合に、一定の金銭(保釈保証金)を裁判所に預けることで、身体拘束から解放してもらう制度のことをいいます。

刑事事件は、通常、捜査段階→公判段階という流れで進んでいきます(刑事事件一般の流れについては「刑事事件はどのように進んでいくの」というコラムで詳細に解説しておりますので、そちらもご参照ください)。

つまり、おおまかにいえば、①警察が事件を捜査をして、検察官が起訴or不起訴の判断をするまでの段階を捜査段階、②検察官が起訴した後、裁判所で行われる裁判手続きのことを公判段階といいます。

そして、捜査段階で犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象となっている人のことを「被疑者」、公判段階で事件について審判の対象となっている人のことを「被告人」といいます(捜査段階=被疑者、公判段階=被告人ということです)。

上述のとおり、保釈は「起訴された被告人」について認められる制度なので、起訴後の公判段階においてのみ適用されます。したがって、捜査段階での保釈というのはありません。

また、保釈は身体拘束からの解放を目的とした制度なので、当然ですが、本人の身柄が拘束されている事件(=身柄事件)であることが前提となります(身柄事件に対して、本人の身柄が拘束されていない事件のことを「在宅事件」といいます)。

身柄事件も在宅事件も捜査段階と公判段階がありますが、保釈は身柄事件の公判段階においてのみ適用されうる制度であるということです。

保釈が必要になる場面とは?

以上を前提にもう少し詳しく説明すると、身柄事件においては、捜査段階で最長23日間身柄を拘束されることになります(身柄拘束されている刑事事件の流れについては「ご家族が逮捕された方へ」というコラムでも詳細に解説しておりますので、そちらもご参照ください)。

そして、この最長23日間の間に警察は事件について捜査を進め、最終的に検察官が起訴にするか不起訴にするかを判断します(繰り返しになりますが、この捜査段階での身体拘束について「保釈」を求めることはできません。捜査段階での身体拘束については、別の手続き(勾留準抗告や勾留取消請求等)によって身柄の解放を求めていくことになります)。

捜査終了後、検察官が不起訴にすると判断すれば、そこで事件は終了するのですぐに身柄が釈放されます。当然、この場合は保釈は不要です。

また、起訴の場合でも「略式起訴」といって、軽微な事件について書面審査だけで罰金に処する簡易的な手続きが選ばれた場合も、必ず罰金になるので身柄はすぐに釈放されます。この場合も保釈は不要です。

これに対して、不起訴でも略式起訴でもなく、正式起訴という手続きが選ばれた場合は、正式な刑事裁判手続きを行うことになるので、最終的に判決が出るまでの間、身体拘束(勾留)が続くことになってしまいます。

しかし、判決が出るまでの数か月(下手をすれば数年)もの間、身柄拘束が続くのは被告人にとって極めて負担が大きいといえます。

そこで、一定の金銭(保釈保証金)をいわば人質代わりに裁判所に収めることで、身柄を解放してもらうのが保釈という制度になります。

保釈保証金は、保釈の際に出される条件(保釈条件)を守っていれば、裁判が終わった時点で全額戻ってきます。

他方、逃亡や証拠隠滅を図るなどして保釈条件を破ってしまった場合は、保釈保証金の全部または一部が没収されます。そしてこの場合、保釈も取り消しとなって再び収監されることになってしまいます。

「保釈」と「釈放」はどう違う?

なお、「保釈」とよく混同される用語として「釈放」があります。

「釈放」とは、身体拘束から身柄を解放してもらうこと全般のことを意味しています。

保釈によらなくても、例えば、不起訴処分となって身柄が解放されることも「釈放」といいます。

これに対して、「保釈」は刑事訴訟法88条〜94条によって定められている上記のような制度(お金を納めて身柄を解放してもらう制度)のことをいうのであり、身体拘束からの解放全般を指す「釈放」とは意味が異なります。

保釈の重要性

保釈によって身体拘束からの解放を得ることは極めて重要です。

すでに説明したとおり、保釈はすでに起訴され、裁判を控えている人が身柄を解放してもらう制度です。

ですので、来たる裁判の期日に備えて弁護人と密に打ち合わせなどをしていかなければならない状況にあります。

しかし、身体拘束が続いている状態では、拘置所や留置場の面会室でしか打ち合わせをすることができず、これでは刑事裁判に向けて必ずしも十分な準備ができるとはいえません。

他方、保釈によって身柄拘束から解放された場合、もとの生活を送りながら裁判に対応することが可能となり、時間や場所の制限を受けず、十分に記録を検討しながら、弁護人と密に連絡をとりながら裁判に向けて準備を進めることができるようになります。

このように保釈制度は、刑事裁判に向けて充実した準備を進める前提として非常に重要な意味を持っているといえるでしょう。

保釈はどういう場合に認められる?

全ての事件において保釈が必ず認められるわけではありません。では、保釈はどのような場合に認められるのでしょうか?

保釈が認められるための条件を定めた規定としては、刑事訴訟法89条と90条があります。

89条は、いわゆる「権利保釈」について定めた規定であり、保釈の請求があった場合は、同条1号から6号までに定める事由(除外事由)がある場合を除いて、保釈を認めなければならないという規定です。

つまり、「保釈の請求があった場合は、原則として保釈を認めないといけないけど、1号〜6号までの事情に当てはまる場合は例外ね」ということです。条文は以下のとおりです(条文の内容は後で詳しく説明します)。

第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。

一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。

三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。

六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

これに対して、90条は、いわゆる「裁量保釈」について定めた規定であり、89条1号から6号に該当する事由があり、権利保釈が認められない場合であっても、裁判所が様々な事情を考慮して裁量によって保釈を認めることができるという規定です。条文は以下のとおりです。

第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

まとめると、保釈の可否判断は、①保釈請求があれば、原則として、保釈(=権利保釈)を認めないといけない→②ただし、例外的に89条1号〜6号に該当する事由(除外事由)がある場合は、権利保釈を認めない→③除外事由があって権利保釈が認められない場合でも、裁量保釈を認めることはできる、という3段構造になっているということです。

そこで、以下では権利保釈と裁量保釈についてみていきましょう。

権利保釈

上述のとおり、89条1号から6号に定める除外事由がない限り、裁判所は権利保釈を認めなければなりません。

したがって、権利保釈が認められるか否かは、89条1号から6号に定める除外事由に該当するか否かによって全てが決まります。

以下で除外事由について一つずつ見ていきましょう。

89条1号

一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

これは、起訴された罪の法定刑に死刑もしくは無期刑、又は、短期1年以上の懲役、禁錮刑が含まれている場合のことです。

このような重罪事件については重い刑罰が科される可能性が高く、類型的に逃亡するおそれが高いと考えられるため、権利保釈の除外事由とされています。

例えば、殺人罪は、法定刑の中に死刑または無期刑が含まれているので、これに該当します。

また、強盗罪は、死刑や無期刑は定められていないものの、短期5年以上の有期懲役が法定刑となっているので、これに該当します。

したがって、殺人罪や強盗罪では権利保釈が認められることはありません。

89条2号

二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。

これは保釈決定時を基準として、それ以前に死刑や無期刑、長期10年を超える懲役、禁錮に当たる罪について有罪判決を受けたことがある場合のことを指します。

過去に一定以上の重大犯罪について有罪判決を受けたことがある場合、今回の裁判でも重い刑罰となることが予想されるところ、類型的に逃亡のおそれが高いと考えられるため、権利保釈の除外事由とされています。

「死刑や無期刑、長期10年を超える懲役、禁錮に当たる罪について」とされているので、実際に過去に受けた判決が死刑や無期刑、長期10年以上の懲役、禁錮である必要はありません。

例えば、過去に殺人罪について懲役8年の懲役刑を言い渡されたことがある場合でも、殺人罪は法定刑に死刑や無期刑が含まれた犯罪なので、89条2号に該当することになります。

なお、有罪の宣告を受けていれば足り、判決が確定していることは不要ですし、ここでいう有罪の宣告には、執行猶予が付されていた場合も含みますので注意が必要です。

89条3号

三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

「常習として」とは、同種・同質の犯罪事実を繰り返し行なっていたことが認められる場合のことを指します。

これが権利保釈の除外事由とされているのは、1号、2号と同じ趣旨であり、重い刑が科される可能性が高いので、定型的に逃亡のおそれが高いと考えられるからです。

必ずしも起訴された事実だけに限らず、余罪として繰り返し行なっていたと認められる場合もこれに含まれます。

例えば、1件の窃盗(長期10年)で起訴された場合でも、起訴はされていない余罪として複数回に渡って窃盗を繰り返し行なっていたことが証拠上認められる場合は、89条3号に該当し、権利保釈は認められないことになります。

89条4号

四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

現在、権利保釈を却下する理由として一番多いのがこの要件です。

罪証を隠滅するおそれがある否かは、犯罪事実の軽重、罪を認めているか否か、証拠の隠滅が客観的に可能か否か、可能であるとすればその証拠はどの程度重要なものであるか、適切な身柄引受人がいるか否か、などの事情によって判断されます。

なお、89条4号にいう「罪証」とは、物証や書証のみならず、人証も含みます。

例えば、証人予定者が被告人と面識のある人物である場合、被告人が容易に接触することができるため、罪証を隠滅するおそれがあると判断される可能性が高まるといえるでしょう。

89条5号

五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。

これは被害者や証人等に対する いわゆる「お礼参り」を防止するために設けられた規定です。

これに該当するか否かは、被告人の属性(反社会的勢力に所属していないか否か等)や過去の言動、被害者等との関係性などによって判断されます。

89条6号

六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

氏名や住所が不明な場合は逃亡のおそれが類型的に高いと考えられるため、権利保釈の除外事由とされています。

「氏名又は住所」と定められているとおり、氏名と住所のいずれかが不明であれば、89条6号に当てはまります。

裁量保釈

権利保釈が認められない場合でも、裁判所は職権で裁量保釈を認めることができます。

実際、権利保釈の除外事由に該当する事件でも、裁量保釈で保釈される事案はたくさんあります。

裁量保釈は、逃亡や証拠隠滅の防止という勾留を継続することによるメリットと、健康上、経済上、社会生活条の不利益等勾留を継続することによるデメリットを比較衡量して判断されます。

健康上の不利益に関する事情としては、例えば、被告人が持病を抱えており、長期間の身体拘束が原因で健康が害されるおそれが高い場合などが考えられます。

経済上の不利益に関する事情としては、例えば、身体拘束の長期化により会社を解雇される危険が高いこと、収入が途絶えて家族の生活費が工面できなくなっていること、自営業者における顧客や取引先の消失等の事情が考えられるところです。

社会生活条の不利益に関する事情としては、例えば、学生である被告人が退学処分を受ける可能性があることなどが考えられます。

保釈の手続きはどうすればいい?

保釈を求めるためには、保釈請求書を裁判所に提出しなければなりません。

保釈請求書には、保釈を認めるべき理由を記載するとともにそれを裏付ける資料を添付します。また、保釈が認められた場合に生活の拠点となる場所(制限住居)も記載しなければなりません。

なお、保釈が認められるためには、親族等の適切な身柄引受人がいることが必須ですので、保釈請求書には必ず身柄引受書を添付しなければなりません。

裁判所は保釈請求書の内容や事件記録を検討し、検察官の意見も聴取した上で、保釈を認めるか否かを判断します。

裁判所が保釈を認めると判断した場合は、保釈決定が出されます。

保釈決定には、保釈中に守らなければならない条件(保釈条件)や制限住居、保釈保証金の額が定められます。

保釈決定で定められた保釈保証金を裁判所に納付すれば、晴れて釈放されることになります(通常は、保釈保証金を納付したその日のうちに釈放されます)。

なお、保釈決定で定められた保釈条件を破った場合は、保釈が取り消されて再度収監されるとともに、保釈保証金の全部又は一部が没収されてしまいます。

また、保釈期間中に制限住居が変更になる場合は、裁判所の許可を得なければなりませんので、保釈期間中の引越しや旅行の際には注意が必要です。

保釈保証金の額はどのように決まる?用意できない場合は?

保釈保証金の額は、起訴された犯罪事実の重大性や逃亡、証拠隠滅のおそれの程度、本人の経済力などによって判断されます。

要するに、本人にとって逃亡や証拠隠滅を抑止するのに十分な金額がいくらであるかという判断になりますので、カルロス・ゴーンやホリエモンなどの大富豪の場合は億単位の保釈保証金が設定されることもありますが、そうではない一般市民の場合は数百万円(概ね100万円〜300万円)になることがほとんどです。

なお、保釈保証金は必ずしも本人が用意する必要はなく、親族などに用意してもらうことなども勿論可能です。

保釈保証金を用意できない場合、一定の手数料はかかってしまいますが、日本保釈保証支援協会(https://www.hosyaku.gr.jp/)という機関が保釈保証金を立て替えてくれる制度がありますので、こちらの利用を検討すべきでしょう(なお、立て替えには審査があります)。

まとめ

以上、保釈制度について解説してきましたが、保釈を獲得するためには、保釈の要件や手続き等に関する専門的な知識を前提に、裁判官を説得するための技量と経験が非常に重要になってきます。

名古屋H&Y法律事務所では、豊富な知識と経験に基づき、あなたのご家族が保釈されるために尽力いたします。

ご家族の保釈獲得をご希望の場合は、ぜひお早めにご相談ください。

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