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示談について弁護士が解説します
「刑事事件を起こしてしまって示談で解決してほしい」
「示談にするにはどうすればいいのか?」
ここでは、そのような方達のために、示談についてわかりやすく解説していきたいと思います。なお、示談については次の関連記事で示談金の相場などについて詳しく解説しておりますので、こちらもご参照ください。
関連記事:「刑事事件における示談金の相場」
そもそも示談とは?
示談の意味は?和解とは違う?
「示談」という言葉を少し難しい言葉で説明すると「損害賠償について当事者間で協議を行い、合意をして解決すること」をいいます。
どういうことかというと、例えば、AさんがBさんに故意や過失によって損害を与えてしまったとします。
そうすると、AさんはBさんに対して、自分が与えた損害を金銭で賠償する義務を負うことになります。この金銭で賠償することを「損害賠償」といい、損害賠償についてAさんとBさんの間で話し合って金額などを決めて合意することを「示談」といいます(もっとも、刑事事件での「示談」にはやや特殊な意味がいが含まれていることが多く、この点は次の項目で後述します)。
なお、「示談」と似た言葉に「和解」という言葉ありますが、示談と和解はほとんど同じ意味合いだと理解していただいて大丈夫です。ニュアンスとしては、「示談」は刑事事件や不倫、交通事故などのようにどちらかに落ち度がある場合をいうことが多く、「和解」は当事者間のフラットな争いについて合意をする場合をいうことが多いとは思いますが、どちらを使っても間違いというわけではないでしょう。
刑事事件での示談とは?
以上が「示談」の一般的な意味合いですが、刑事事件における「示談」には、もう少し特別な意味合いが含まれていることが多いです。
つまり、刑事事件においては、損害賠償について合意することに加えて、被害者側に「許す」という意思表示をしてもらうことも含めて「示談」と呼ぶことが多いです。
なぜかというと、刑事事件においては、検察官も裁判官も被害者の意思(被害感情)を非常に重要視するからです。ですので、被害者が「許す」という意思を表示していることは、被疑者、被告人側にとって極めて有利な事情になり、示談交渉の主眼もこの点にあります。
このように、刑事事件での示談では、損害賠償についての合意に加えて被害者側に「許す」という意思表示をしてもらい、この点を示談書に掲載することが多いです。
なお、示談書においては「許す」のほか「宥恕(ゆうじょ)する」「刑事処分を求めない」「被害届を取り下げる」などの文言が使われることも多いです。
示談金はいくらくらい?
示談金の相場はいくらくらいでしょうか?
先ほど説明したとおり、刑事事件における示談とは損害賠償に加えて被害者に「許す」という意思表示をしてもらうことを指すのが一般的です。
ですので、一般論としては被害者側の損害にプラスして一定の金銭を上乗せした金額になることが多いといえるでしょう。
もっとも、具体的な金額については、事件の種類や内容によって大きく異なるので一概にはいえません。
事件類型ごとの示談金の相場については、こちらの関連記事をご参照ください。
関連記事:「示談金の相場はどれくらい?」
示談のメリット
①不起訴になり前科を避けられる可能性が高くなる
起訴や不起訴を決める決定権を有しているのは、検察官です。
検察官はさまざまな事情を考慮して起訴にするか不起訴にするかを決めますが、その中でも被害者の被害感情というものを非常に重要視します。
ですので、被害者と示談をし、被害者側が「許す」という意思表示をしていることで不起訴処分になる可能性が高くなります。
そして、不起訴になれば、当然、処罰されることもありませんので、前科がつくこともありません。
関連記事:「不起訴処分になるためにはどうすればいい?」
②執行猶予がつくなど刑が軽くなる可能性が高くなる
検察官と同じように、裁判官も被害者の被害感情を重要視するので、もしも起訴されてしまったとしても、示談をしていることで、刑が軽くなる可能性が高くなります。
事件の種類や内容によっては、示談をしているか否かで執行猶予がつくかどうか決まる場合も多いです。
仮に実刑になったとしても被害者側と示談をしていることで刑期が短くなります。
関連記事:「執行猶予がつくのはどんな場合?」
③身柄拘束から解放される可能性が高くなる
逮捕や勾留により身柄が拘束されている場合、示談をすることによって身柄拘束から解放される可能性が高くなります。
示談をすることで不起訴相当となる事案では、勾留期間中であっても、検察官が勾留を取り消して身柄を解放することもあります。
④損害賠償の問題が早期に解決する
示談をすることで損害賠償についての問題が早期に解決することで、後日、訴訟を起こされるなどして争いが長期化することを避けられます。
示談にするにはどうすればいい?弁護士に依頼するメリット
示談をする場合、⑴被害者と話し合いをする、⑵金額や条件について合意する、⑶合意内容を記載した示談書を作成する、という流れになります。
なお、被害者の連絡先がわからない場合は、警察を介して被害者に取り次ぎを依頼することになります。
これらの対応は弁護士でないと難しいかと思われますので、刑事事件を起こしてしまい、被害者との示談を希望される方は早期に弁護士に依頼することをおすすめします。