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解雇や退学を避けるためには?
「刑事事件を起こしてしまったことを会社や学校に知られたくない」
「警察から学校や職場に連絡されないか不安」
ここでは、そのような方々のために、刑事事件を起こしてしまった場合に学校や職場に知られてしまうのはどのような場合か、学校や職場に知られないようにするためにはどうすればよいかを解説したいと思います。
職場や学校に知られてしまうのはどのような場合か?
必ず警察から連絡される?
刑事事件を起こしてしまった場合でも、通常、警察が職場や学校に連絡することはありません。
当然、犯罪を犯してしまった事実が職場や学校に知られてしまうと、解雇や退学などの厳しい処分が下される可能性が高く、その人の人生に重大な不利益を生じさせてしまうことになります。
警察の仕事は、あくまで必要な捜査を行うことであり、被疑者に必要以上の制裁を与えることではありません。
ですので、刑事事件を起こしてしまった場合でも、警察が無闇に職場や学校に連絡するということはありません。
もっとも、一定の場合には職場や学校にされる場合もあります。どのような場合に連絡されてしまうのか以下で見ていきましょう。
警察から職場や学校に連絡される可能性がある場合
① 職場や学校に関係のある犯行である場合
まず、考えられるのは職場や学校が現場となった犯行など、事件自体に職場等が関係している場合です。この場合は、警察としても捜査に不可欠であるため、職場等への連絡は避けられません。
職場の自動車で現場に行った場合、職場から支給されたスマートフォンで盗撮した場合など、職場のものを犯行に利用した場合も連絡されるリスクはありますが、適切に警察を説得することで連絡を避けられる可能性も高いです。
② その他捜査に必要な場合
犯罪自体に職場が関係していない場合であっても、警察が捜査に必要と考えた場合は、職場やその従業員に聞き込み調査を行うことがあります。
具体例としては、詐欺や窃盗などの財産犯の場合において、職場の同僚に「最近急に金回りが良くなったということはないか」などと聞き込みを行うケース、責任能力が争点となりうる事件で最近の仕事ぶりについて確認するケースなどが考えられるところです。
③ 公務員の場合
公務員の場合は、警察から連絡されることがあります。
もっとも、起訴、不起訴が決まる前の捜査段階であれば、連絡されないことも多いです。ですので、この段階で被害者と示談をするなどして不起訴に持ち込むことができれば、職場への連絡を避けられる可能性が高いといえます。
他方、起訴されて有罪判決を受けた場合は必ず職場に通知されてしまいます。
④ 高校生の場合
各都道府県において、学校警察連絡制度ないし学校警察連携制度といって、学校と警察が連携を図り、警察が認知した少年の犯罪行為などを学校に通知するための協定が結ばれていることがあります。
生徒の犯罪事実などを学校が把握できるようにすることで、再びその生徒が犯罪行為に出ないようにし、新たな犯罪被害を防ぐという趣旨の制度ですが、実際の運用としては、事案の内容によって、被害者と示談が成立していることや本人が反省していることなどを考慮して学校側に連絡されないこともあります。
報道によって知られる場合
警察から直接連絡がされなかったとしても、事件が報道されることで職場や学校に知られる場合もあります。
どのような場合に報道されるかというと、まずは本人が逮捕された場合が考えられます。
つまり、警察は誰かを逮捕した場合、その事件の内容(被逮捕者の名前や事件の概要)がマスコミに公開されます。マスコミはその情報に基づいて事件を報道するかどうか判断します。軽微な事件であれば報道されないことが多いですが、その日の他のニュースの状況によっては、軽微な事件でも地方紙の社会面などに実名で掲載されることがあります。
また、本人の職業や社会的地位、事件の重大性などに鑑みて報道する価値が高い事案は逮捕されなくても報道される可能性が高いといえます。具体的には本人が公務員や大企業の社員である場合、人が死亡したり大怪我を負ったりした事件の場合などです。
家族などから連絡する場合
本人が逮捕勾留され長期間身体を拘束される場合は、欠勤、欠席が続くことになるので、職場などを誤魔化し続けることは困難であり、家族から事実が職場などに伝えられることがあります。
このような経緯で職場などに知られるケースも比較的多いです。
職場や学校に知られた場合どのような処分になる?
刑事事件を起こしたことを職場や学校が知った場合どのような処分になるでしょうか?
これについては、それぞれの職場、学校での就業規則や校則に基づく判断になるので一概にはいえないところですが、一般論としては被害者と示談をするなどして不起訴になった場合は、そうでない場合よりも処分が大幅に軽くなる傾向にあるといえます。
職場や学校に知られた場合でも、早期に被害者と示談をして不起訴処分に持ち込むことで解雇や退学などの厳しい処分を避けられる可能性が高くなるといえるでしょう。
職場や学校に知られないためにはどうすべきか?
先ほども説明したとおり、警察から職場や学校に連絡されることは基本的にはありませんが、一定の場合には、連絡される場合があります。
いずれの場合であっても、早期に被害者と示談をするなどして、警察を説得することが重要になります。
また、上述のように、報道や家族からの連絡によって知られるケースというのは逮捕された場合であることが多いので、逮捕されないようにすることも肝要といえるでしょう。逮捕されないためには、逃亡、証拠隠滅のおそれがないことを警察に説明し、逮捕しないよう説得する活動が必要です。
このように職場や学校に知られることを防ぐためには、弁護士による早期の対応が必要不可欠です。刑事事件を起こしてしまい職場や学校に知られないかご不安な方は早めにご相談ください。