不倫(不貞)の証拠は自分で集められる?探偵を使わずに不倫(不貞)の証拠を集める方法について弁護士が解説します

  • 配偶者が不倫をしているかもしれないので証拠を集めたい
  • 不倫の証拠は自分で集められる?
  • 不倫の証拠を集めるためには探偵に依頼しないといけない?
  • 探偵に依頼しないで証拠を集める方法は?

このコラムではそのようなお悩みをお持ちの方にために、不倫の証拠を集める方法についてわかりやすく解説していきたいと思います。

そもそも「不倫(不貞)」とは何か?

不倫(不貞)の証拠を集めるといっても、そもそも何が「不倫(不貞)」にあたるのかがわからなければ、適切に証拠を集めることができません。

実際、「不倫の証拠が取れた」としてご相談いただいたものの、不倫(不貞)の意味をきちんと理解できていなかったために、弁護士が見たら有用な証拠がほとんどなかったという事例はたくさんあります。

そこでまず、目標を見失わないために、「不倫(不貞)とは何か?」ついて解説しておきたいと思います。

なお、ここまで「不倫(不貞)」という記載の仕方をしていますが、「不倫」と「不貞」は同じ意味です。

一般には「不倫」という言葉が使われることが多いでしょうが、法律の世界では民法の条文(770条1項1号)で「不貞な行為」という文言が使われていることから、それに従って「不貞」ないし「不貞行為」と呼ぶのが通常です。

以下では皆様になじみのある「不倫」の方で統一したいと思います。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、「不倫」というのはズバリ「配偶者以外の異性との性交渉」のことをさします。

したがって「性交渉」がないと不倫とは呼べません。そして、ここでいう「性交渉」とは「性交または性交類似行為」のことを指します。

「性交」というのは、姦淫行為のことで、もっとくだけた言い方をするといわゆる「本番行為」のことです。

「性交類似行為」は、姦淫行為以外でそれに類似する行為であり具体的には、口淫、手淫などがそれに当たります。

なお、キスについては、一般にそれだけでは不倫にあたらないとされています。

このように、不倫とは肉体関係の存在が前提となるのであり、例えば二人で食事に行くとか、頻繁に電話やLINEをしているというだけでは不倫にはあたりません。

ですので、集めるべき証拠は性交渉があったことを示すものでなければならず、そこがゴールになるということを意識していただく必要があります。言い換えれば、単に親密な交際関係にあることを証明しても、性交渉の存在を証明できない限り不倫の証明にはならないということです(なお、単なる親密交際関係であっても、それ自体が不倫の存在を推認させる一つの事情になり得ます。ただ、それだけで不倫の証明をするというのは難しく、位置付けとしてはあくまで「補完証拠」といったところです)

不倫の証拠は自分で集められる?それとも探偵に依頼すべき?

さて、目標が定まったところで、以下では具体的な証拠収集の方法について解説していきたいと思います。

ここで、最初に考える必要があるのが探偵に依頼するか、自分で集めるかという問題です。

探偵に依頼するメリットは、確実な証拠写真が取れる可能性が高いということです。

探偵は不倫調査を生業としているので、当然、ノウハウを持っていますし、素人ではなかなか用意できない機材も揃えています。

ですので、それらを用いて確実な証拠写真を押さえてくれる可能性は高いといえます。

ですが、探偵に依頼するとかなりの費用(数十万円〜100万円程度)がかかってしまいます。また、探偵に依頼したからといって確実に証拠が取れるわけでもなく、費用をかけたものの空振りに終わったということもよくあります。

そこで、探偵には頼らず、自分で証拠収集に挑戦するという選択肢もあります。

自分で証拠を集めることができれば、探偵に依頼した場合に発生するような高額な費用は当然かかりません。

ですが、探偵のようなノウハウも機材もない中で、探偵が撮影するような確実な証拠写真を撮るのはなかなか難しいところでしょう。

また、自分で証拠収集に挑戦することで、相手に察知されてしまうリスクも高いところです。

ですので、探偵に依頼するか否かは上記のようなメリットとデメリットを考慮して判断していただくことになります。

おすすめとしては、まず最初に安価でかつ低リスクに価値の高い証拠を集める方法にトライしていただき、それがダメな場合は探偵に依頼することを検討するという順番で進めるのが良いのではないかと思います。

探偵に依頼せずとも簡単に有力な証拠が取れるのであれば、高い費用をかけて探偵に依頼する必要は最初からありません。なので、まずはそういった方法を試してみるべきです(具体的には、後述する、LINE等のチェックです)。

ですが、そういった方法を試みても証拠を集めることができない場合は、状況を打開するために探偵に依頼することも検討した方がよいでしょう。

とはいっても、「数十万円の費用かけてまで探偵に依頼する余裕はないよ」という方も多いのではないかと思います。

そこで、以下では、探偵を使わずに証拠を集めるという道を選択した場合、どのような方法があるかをご紹介したいと思います。

なお、不倫の証拠については不倫・不貞慰謝料の相場と証拠でも詳しく解説しておりますので、そちらもご参照ください。

探偵を使わない証拠収集の具体的な方法

LINE、メール、SNSのやり取り

LINEやメール、SNSで性交渉の存在を示唆するようなやり取りは非常に価値の高い証拠になります。

基本的にはそれのみで不貞の立証ができると考えていただいても大丈夫なほどです。

先ほど、まずは安価でかつ低リスクに価値の高い証拠を集める方法にトライすべきだと述べましたが、ここでいう安価でかつ低リスクに価値の高い証拠を集める方法というのは、まさにLINE等のチェックです。

夫婦であればスマホの暗証番号を共有していることも多いので、その場合は隙を見てチェックすることも可能でしょう。あるいは、スマホの画面を開いたまま寝落ちしている隙にチェックして不倫が発覚したというケースも時々あります。

暗証番号がわからない場合は、配偶者がアンロックする際の指の動きを見て推認するという方法もありますが、ご存知のとおり、スマホの暗証番号を複数回間違って入力するとロックがかかってしまうので要注意です。

また、スマホ自体の暗証番号がわからなくても、他のデバイス(PC、タブレット、スマートウォッチ等)と同期しており、そこからLINE等を見ることができたという事例もあるので、心当たりがある場合は試してみてはいかがでしょうか?

証拠となるやり取りを見つけた際は、(LINEの場合)テキストデータとして自分のスマホに転送したり、その画面自体を自分のスマホで撮影するなどして証拠化しておくとよいでしょう。

性交渉の場面や不倫相手とのやり取りを記録した音声、動画

性交渉の場面を記録した音声や動画は極めて有力な証拠になります。

例えば、自宅で不貞行為に及んでいるような場合であれば、自宅の発見されにくい場所に盗聴器などを仕込んでおくとよいでしょう(なお、性交渉の場面を撮影する行為は、盗撮として犯罪に該当してしまうおそれがあるので、控えておいた方が無難です)。

こちらが所有している車の中で行為に及んでいる場合も同様に車の中に盗聴器を仕込んでおくことは容易だと思われます。

なお、その場合はドライブレコーダーなどに映像、音声が残っている可能性もあるので、確認してみることをおすすめします。

ホテルや相手の家で行為に及んでいる場合は、配偶者のカバンや持ち物に小型の盗聴器を仕込んでおく方法が考えられます。最近の盗聴器は極めて小型化しているので発覚のリスクは小さくなっています。

それでもやはり盗聴器を仕込んだことが発覚してトラブルになるリスクは避けられませんので、その点は考慮に入れて検討すべきでしょう。

上記のような方法で音声や動画の記録を収集した結果、性交渉の場面そのものではなくとも、不倫相手との会話の内容を録音することができ、その中で性交渉の存在を前提とするやり取りがされているということもよくありますが、それも極めて有力な証拠となります。

また、ご丁寧に配偶者が不貞相手との性交渉の場面を撮影していることもままあります。

スマホをチェックすることが可能であれば、写真、動画フォルダも確認してみるべきでしょう。

位置情報

配偶者の位置情報も証拠の一つにはなります。

ですが、どうしても誤差がありますし、例えば「配偶者がラブホテルにいた」という位置情報だけだと、配偶者が不倫していたことは推認できても、相手が誰かわからないので、不倫相手に慰謝料請求する際の証拠としてはあまり価値がありません。

証拠収集の方法としては、配偶者のカバンなどにGPSを仕掛けることが考えられますが、発覚のリスクが避けられない上、上述のとおり、あまり証拠としての価値も高くないので、コスパ的にそこまでおすすめはできません。

利用する場面は、「配偶者が本当に不倫をしているか確かめたい」という場合や、後述する写真を押さえるための手段として用いる場合に限定されるでしょう。

なお、配偶者のスマホに位置情報アプリが入っている場合は、その履歴をチェックするという方法もあり得ます。

ラブホテルや相手の自宅の出入りの写真

これは基本的に探偵の領分であり、素人が確実な写真を押さえるというのは至難の業です。

また、トライした結果、相手に察知されて尻尾を出さなくなるというリスクもありえます。

それでもチャレンジしたい場合は、まず配偶者のカバンや自動車にGPSを設置してその動きを把握するところから始めるべきでしょう。

尾行するという方法もありますが、自分でやっても発覚のリスクは高いので、配偶者と面識のない友人などにお願いする必要がありますし、素人が備考をしても失尾してしまう可能性が高いでしょう。

ですので、おすすめはGPSの設置ですが、当然これも発覚のリスクは避けられません。

配偶者の位置情報から特定の場所での不倫が疑われる場合、そこで張り込みをします。

ラブホテルであれば、二人で入っている場面か出てくる場面のいずれかがあれば十分です。

他方、不倫相手の自宅などの場合、滞在していた時間や時間帯も重要なので、「入」と「出」の両方が必要です。ですから、入ってから出てくるまで張り込む必要があります。

さらに、夜間であれば当然周囲は暗いので、普通のカメラだと顔が識別できる写真を撮ることはできません。したがって、きちんと撮影するためには暗視カメラが必要でしょう。

また、当然、ある程度離れた場所から撮影する必要がありますが、その場合は望遠カメラも必要でしょう。

配偶者の自白

配偶者の自白は極めて価値の高い証拠になります。

証拠収集にトライした結果、何となくそれっぽい証拠は集まったものの、決定打まではないという場合、最後の手段として配偶者にこれまで集めた証拠を突きつけて自白を迫ります。

裁判で不倫が確実に立証できる程度の証拠がなくても、それなりに不倫があったことを推認させるような証拠があれば、配偶者が観念して自白してくることも多いです。

その場合、確実にその場面を録音しておくようにしてください。

また、配偶者に自筆の念書を書かせることができればなお良いでしょう。

まとめ

以上、探偵を使わずに証拠を集める方法をご紹介してきましたが、何がどの程度有力な証拠になるのかはなかなか法律に詳しくない人には判断が難しいところかと思います。

証拠収集の方法やそもそもどのような証拠を集めればよいのかお悩みの際は、プロである弁護士にご相談することをおすすめします。

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