刑事事件の弁護士費用が払えない!使える3つの制度を解説

刑事事件の弁護士費用が払えない!使える3つの制度を解説

家族が突然逮捕された、あるいは自分が被疑者になってしまった。そんな状況で「弁護士に頼みたいけど、費用が払えない」と途方に暮れている方は少なくありません。

実は、費用の用意ができなくても弁護士のサポートを受けられる公的制度が複数あります。当番弁護士制度・国選弁護人制度・刑事被疑者弁護援助制度など、状況に応じて使い分けることが重要です。

本記事では、各制度の概要・メリット・デメリットを整理し、あなたの状況に合った選択肢を分かりやすく解説します。

刑事事件の弁護士費用が払えないとどうなる?

刑事事件の弁護士費用が払えないとどうなる?

刑事事件では、弁護士がいないまま手続きが進むことで、取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。たとえば、逮捕直後の取調べで誘導的な質問に答えてしまい、意図しない内容の供述調書が作成されるケースがあります。一度署名した調書は、後から覆すことが非常に難しいため、慎重な対応が求められます。

また、弁護士がいない場合、勾留阻止のための意見書提出や、被害者との示談交渉といった初動対応が遅れがちになります。逮捕から勾留請求まで最大72時間という制限があり、この初動の段階が、起訴・不起訴の結果を大きく左右します。

刑事事件で弁護士費用が払えなくても使える3つの制度

刑事事件で弁護士費用が払えなくても使える3つの制度

弁護士費用が払えない場合に活用できる主な制度は、以下の3つです。それぞれ対象となるタイミングや条件が異なるため、状況に応じた使い分けが重要です。

  • 当番弁護士制度:逮捕直後に無料で1回だけ弁護士を呼べる
  • 国選弁護人制度:勾留後に国が費用を負担して弁護人を選任してくれる
  • 刑事被疑者弁護援助制度:逮捕から勾留前の間、日弁連が弁護士費用を立て替えてくれる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

当番弁護士制度|逮捕直後に無料で1回呼べる

当番弁護士制度とは、逮捕された方やその家族が弁護士会に連絡することで、当番として待機している弁護士が警察署などに駆けつけ、無料で接見・アドバイスを行う制度です。1992年から全国の弁護士会で実施されており、年齢・事件内容・資力を問わず誰でも利用できます。

逮捕された本人は、警察官・検察官・裁判官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えるだけで手続きが始まります。家族や知人が依頼する場合は、各都道府県の弁護士会に電話で申し込みます。依頼後、原則として24時間以内に弁護士が接見に来てくれます。

ただし、同一事件について派遣されるのは原則1回限りです。継続的な弁護活動が必要な場合は、私選弁護人への依頼や、次に紹介する国選・援助制度への切り替えを検討する必要があります。

参考:東京弁護士会「当番弁護士制度

国選弁護人制度|国が費用を負担する公的弁護

国選弁護人制度とは、弁護士費用を自己負担できない被疑者・被告人に対し、国が弁護人を選任する制度です。

制度には「被疑者国選」と「被告人国選」の2種類があります。被疑者国選は勾留状が発せられた後から利用でき、被告人国選は起訴後に利用できます。いずれも資力(現金・預貯金等)が50万円未満であることが原則的な要件です。なお、多くの場合は貧困を理由に費用負担が免除されますが、法律上は被告人が費用を負担する建前となっています。

利用の流れとしては、勾留決定後に裁判所から資力申告書の提出を求められ、審査を経て弁護人が選任されます。弁護士を自分で指名・選択することはできません。

参考:法務省「現行法による国選弁護・国選付添制度の概要(PDF)

刑事被疑者弁護援助制度|弁護士費用を立て替えてもらえる

刑事被疑者弁護援助制度とは、日本弁護士連合会(日弁連)が、逮捕されてから勾留されるまでの間(最長3日間)、弁護士費用を立て替えてくれる制度です。国選弁護人制度と最も大きく異なる点は、弁護士を自分で選べることです。刑事事件に強い弁護士を自ら指名して依頼できるため、より専門的なサポートを受けやすくなります。

利用できるのは、逮捕されており、かつ資力が50万円未満の方に限られます。勾留後は国選弁護人制度の対象となるため、本制度の適用期間は逮捕から勾留前までです。援助を受けた費用は、原則として事件解決後に日弁連へ返済する必要があります。ただし、返済が困難な場合は、分割払いや一部・全額免除の相談にも応じてもらえます。

参考:日本弁護士連合会「刑事弁護に関する制度のご紹介

刑事事件における当番弁護士制度のメリット・デメリット

刑事事件における当番弁護士制度のメリット・デメリット

当番弁護士制度は「逮捕直後に無料で弁護士を呼べる」という点で非常に有用ですが、活動範囲に制限があります。利用を検討する際は、メリットとデメリットを正しく把握しておきましょう。

メリット デメリット
  • 初回接見の費用が無料
  • 原則24時間以内に対応してもらえる
  • 黙秘権などの権利説明や今後の手続きの見通しを聞ける
  • 原則1回限りで、継続的な弁護活動は行ってもらえない
  • 弁護士を自分で選べない
  • 私選弁護人に移行する場合は別途費用が発生する

当番弁護士はあくまで「最初の一手」と位置づけるのが適切です。1回の接見で継続的な弁護活動が終わるわけではなく、その後の方針を決めるための橋渡し役として機能します。接見の際には、今後の方針(国選弁護に移行するか、刑事被疑者弁護援助制度を活用して私選弁護人を選ぶか)についても相談しておくと、次のステップへスムーズに移行できます。

また、当番弁護士として接見した弁護士がそのまま私選または国選の弁護人として継続して担当できる場合もあります。相性が良いと感じたら、引き続き依頼できるかどうかをその場で確認しておくことをおすすめします。

刑事事件における国選弁護人制度のメリット・デメリット

刑事事件における国選弁護人制度のメリット・デメリット

国選弁護人制度は費用負担なく継続的な弁護を受けられる点が最大の強みですが、弁護士の選択に制限があります。利用前にデメリットも把握しておきましょう。

メリット デメリット
  • 原則として費用負担がない(貧困の場合は免除)
  • 起訴後は原則として弁護人が付くため、継続した弁護を受けられる
  • 弁護士を自分で選べない
  • 勾留後の選任になるため、逮捕直後の初動対応が遅れる可能性がある
  • 刑事事件の経験が豊富でない弁護士が担当する場合がある
  • 原則として途中での弁護士交代が難しい

「国が付けてくれるから安心」と思い込まず、担当弁護士との相性や専門性も意識することが重要です。国選弁護人は弁護士会のリストから機械的に割り当てられるため、刑事事件の経験が豊富かどうかは事前に確認できません。

また、費用の面では、多くの場合は貧困を理由に免除されますが、有罪判決が確定した際に訴訟費用の負担を命じられる可能性もゼロではありません。担当弁護士にあらかじめ費用負担の見通しを確認しておくと安心です。

刑事事件における刑事被疑者弁護援助制度のメリット・デメリット

刑事事件における刑事被疑者弁護援助制度のメリット・デメリット

刑事被疑者弁護援助制度は、費用の立替を受けながら弁護士を自由に選べる点で、他の制度にはない強みがあります。一方で、返済義務や利用条件がある点も把握しておく必要があります。

メリット デメリット
  • 弁護士を自分で選んで依頼できる
  • 費用を立て替えてもらえるため、逮捕直後でも初期費用がかからない
  • 逮捕直後から継続的に弁護活動を受けられる
  • 原則として事件解決後に日弁連への返済義務がある
  • 資力50万円未満など、利用条件を満たす必要がある
  • 適用期間が逮捕から勾留前(最長3日間)に限られる

なお、返済が困難な場合は分割払いや一部免除の相談にも応じてもらえます。「返済が不安で使えない」と思わず、まず制度の利用を検討することが重要です。実際に返済できるかどうかは、事件解決後の状況を踏まえて改めて相談できるため、利用をためらう必要はありません。

また、逮捕から勾留までの最長3日間という短い適用期間を最大限に活かすためにも、逮捕後できるだけ早い段階で制度の利用を申し出ることが大切です。当番弁護士を呼んだ際に、そのまま本制度の手続きへ移行できるかどうか確認しておくと、時間のロスを防げます。

【状況別】刑事事件で弁護士に困ったらどの制度を使うべきか

【状況別】刑事事件で弁護士に困ったらどの制度を使うべきか

費用が払えない状況でどの制度を選ぶかは、逮捕からの経過時間や優先したいことによって異なります。以下の3パターンを参考に、自分の状況に合った制度を確認してください。

逮捕直後でとにかく急ぎたい場合

逮捕直後は「まず当番弁護士を呼ぶ」ことが最善の一手です。逮捕後72時間以内は取調べが集中する時間帯であり、弁護士なしで応じてしまうと不利な供述調書が作成されるリスクがあります。当番弁護士は無料かつ24時間以内に対応してもらえるため、費用の心配なく即座にアドバイスを受けられます。

接見の際には、今後の方針(国選弁護に移行するか、刑事被疑者弁護援助制度を活用して私選弁護人を選ぶか)についても相談しておくと、次のステップへスムーズに移行できます。

費用をかけずに起訴後も弁護を受けたい場合

勾留が決定した後、費用をかけずに継続的な弁護を受けたい場合は、国選弁護人制度が第一候補となります。資力が50万円未満であれば申請でき、貧困を理由に費用が免除されるケースがほとんどです。

申請は勾留決定後に裁判所から案内される資力申告書を提出することで手続きが進みます。弁護士の指名はできませんが、費用負担なく起訴後の裁判まで一貫して弁護を受けられる点は大きなメリットです。

弁護士を自分で選びたいが費用が不安な場合

「刑事事件に強い弁護士に依頼したいが費用が払えない」という場合は、刑事被疑者弁護援助制度の活用が有効です。逮捕から勾留前の最長3日間、日弁連が費用を立て替えるため、自分で選んだ弁護士にすぐ動いてもらえます。

勾留後は国選弁護人制度に切り替えることができ、同じ弁護士が引き続き担当できる場合もあります。

刑事事件で弁護士費用が払えない場合のよくある質問

刑事事件で弁護士費用が払えない場合のよくある質問

逮捕当日でも弁護士を呼べますか?

はい、呼べます。当番弁護士制度を利用すれば、逮捕当日でも無料で弁護士に接見してもらえます。逮捕された本人は、警察官や検察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えるだけで手続きできます。家族や知人が呼ぶ場合は、各都道府県の弁護士会に電話で申し込みましょう。弁護士会の連絡先は「○○県(市)弁護士会 当番弁護士」と検索すると確認できます。

国選弁護人は本当に無料ですか?

原則として費用負担はありません。ただし、法律上は被告人が費用を負担する建前になっており、裁判所が費用負担を命じるケースが存在します。実際には、資力50万円未満であることが国選弁護を利用できる条件であるため、貧困を理由に費用が免除されるケースがほとんどです。資力について虚偽の申告をすると10万円以下の過料の対象となるため、正直に申告することが必要です。

家族が弁護士費用を払えない場合はどうすればいい?

家族が逮捕された場合も、上記で紹介した制度を活用できます。まず家族が弁護士会に連絡して当番弁護士を呼び、接見後に弁護士から今後の方針を聞きましょう。刑事被疑者弁護援助制度の申し込みは、弁護士を通じて行うため、当番弁護士にその旨を伝えると手続きをサポートしてもらえます。

まとめ

まとめ

刑事事件で弁護士費用が払えない場合でも、当番弁護士・国選弁護人・刑事被疑者弁護援助制度という3つの公的制度を状況に応じて組み合わせることで、弁護士のサポートを受けることが可能です。逮捕直後は当番弁護士を呼んで初動を固め、その後は費用・弁護士の選択自由度・対応期間を踏まえて最適な制度へ切り替えていくことが大切です。

費用を理由に弁護士への相談をためらうことなく、まずは行動することが、ご自身やご家族を守ることにつながります。

名古屋H&Y法律事務所は、お客様に「本気で寄り添う」をモットーにする法律事務所です。刑事事件に関するご相談は無料で受け付けております。ウェブ会議や電話会議を利用したリモート相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。

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